あやきラボ

ソフトウェアエンジニアの生存戦略

意見ではなく事実を伝えよう

この記事では、仕事中のコミュニケーションにおいて意見ではなく事実を伝えるメリットとその具体的な方法を紹介します。

対象読者は、稚拙な推測のせいでミスリードさせてしまった、うまく納得させられなくて無駄な時間を消費してしまった、といった経験がある人です。

この記事を読めば、これらの事態に陥る頻度が減り、スムーズにコミュニケーションできる優秀な人に一歩近づけます。

エンジニアならではの事例をたくさん紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

事実を伝えるといい理由

曖昧な意見に逃げず事実を伝えるのがいい理由は、実態に即した正しい判断ができるようになるからです。

なぜそう言えるのか、曖昧な意見を伝えた場合と事実を伝えた場合とを比較してみましょう。ここであなたは、自分と同じくらいのスキル感の同僚と開発しているとしましょう。

曖昧な意見を伝えた場合

あなたは同僚から、たとえば以下のような意見を伝えられたとします。

  • このサーバーはスペック不足です
  • この画面が動きません
  • あなたのこのソースコードは汚いと思います
  • このタスクはだいたい終わっています

こんなことを言われたらどう思いますか?よほどの信頼関係がない限り、以下のような疑問や反感を覚えるでしょう。

  • このサーバーはスペック不足です: 本当にそうかわからない。サーバー増強した結果真因が他にあることが後ほど明らかになった、みたいなことが起こり得る。
  • この画面が動きません: 動かない、の意味がよくわからない。画面が真っ白なのか、UIの一部が動かないのか、具体的にどのような事象が発生しているのか不明。
  • あなたのこのソースコードは汚いと思います: 主観なので納得できない。改善するにしても方針が立てられず、コミュニケーションコストが高い。
  • このタスクはだいたい終わっています: すぐリリースできる状態ということ?最悪、残タスクが山積みである可能性もある。

同僚の見解が正しいかどうか非効率的なコミュニケーションラリーが発生したり、正しいと信じた結果見当違いの方向に行ってしまったりと、仕事がなかなか前に進まないのがわかると思います。

事実を伝えた場合

同僚自身の見解や推測を廃して、事実を愚直に伝えられたとします。

  • CPU使用率が常時90%を超えていますが、メモリには50%の空きがあります。また、特定のバッチ処理プロセスがCPUの80%を占有しています。
  • 登録ボタンをクリックすると、画面上は無反応ですが、ブラウザのコンソールログに500エラーが出ています。
  • if文のネストが3階層あります。ガード節を使えば1階層に減らせます。
  • 異常系含め全ての実装とコードレビューは完了し、マージされています。結合テストが未着手です。

具体的な事実があるだけで説得力が段違いですね。こういった連絡を受けたら、誤解や反感を抱かず仕事が前に進みそうです。

事実を伝える方法

今回は2つの観点で、事実を伝える方法を紹介します。数字で表現することと、推測と事実を分けて伝えることです。

数字で表現する

曖昧な表現を避け、具体的な数字で表現することで、事実として伝わりやすくなります。

たとえば以下のような言い換えができます。

  • 「サーバーが重い」→「CPU使用率が90%を超えています」
  • 「レスポンスが遅い」→「APIのレスポンスに3秒かかっています」
  • 「だいたい終わっています」→「10タスク中8タスク完了しています」
  • 「バグが多い」→「今週だけで5件のバグが報告されています」

数字には誰も反論できません。「重い」「遅い」「多い」は人によって基準が違いますが、数字は複数人で共通の理解が得られます。

すべてを数字にする必要はありませんが、「この表現、曖昧かも」と思ったら数字に置き換えられないか考えてみてください。

推測と事実を分けて伝える

仕事では、事実だけで完結しない場面も多いです。そんなときは、事実と推測を明確に分けて伝えることで、誤解を防げます。

たとえば以下のように伝えます。

  • 「事実として、デプロイ直後からエラーが増えています。推測ですが、今回のリリースに原因があるかもしれません。」
  • 「事実として、今月の問い合わせ件数は先月の2倍です。推測ですが、新機能のUIがわかりづらいのかもしれません。」

こうすることで、聞き手は「ここまでは確定情報、ここからはこの人の見解」と区別できます。

推測を伝えること自体は悪いことではありません。むしろ、現場の肌感覚や仮説は貴重な情報です。問題なのは、推測を事実のように伝えてしまうことです。「事実として」「推測ですが」といった接頭語をつける癖をつけると、自然と区別できるようになります。

さいごに

仕事中のコミュニケーションにおいて事実を伝えるメリットとその具体的な方法について、理解していただけましたでしょうか?

「曖昧な意見」と「事実」の違いを意識するだけで、コミュニケーションの質は大きく変わります。まずは今日から、何か報告するときに「これは事実か、それとも自分の推測か」と一度立ち止まってみてください。

最後までご覧いただきありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう。